たむランボー怒りの脱出

恋文のたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

恋文(1985年製作の映画)
5.0
コレ神代辰巳の最高傑作では!ロマンポルノ期と全然作風が違うけど、全てにおいて冴え渡ってる。

あれだけ「カットが割れない」と言っていた神代が、この映画ではしっかりとしたコンテで、特に切り返しをバチっと決めていて、ちゃんと「メロドラマ」をやってる。何かファスビンダーに近いものを感じたし。台詞も“ 強い”ものばかり。

倍賞美津子が恋敵の高橋恵子の背中を叩いて白血病の発作をおさめるシーン。高橋恵子の「もっと強くやってください」に答えて、倍賞美津子の叩く力がエスカレートしていく。両腕を何回も振り下ろす美津子……。ここは増村保造っぽい。濃くて強いメロドラマ。
あと、高橋恵子が臨終のときに目を閉じたかと思うと、一瞬だけ息を吹き返して倍賞美津子と目が合うときの切り返し!
ただ単に瞼を閉じて終わりなのではなくて、閉じる→開ける(一瞬)→閉じるという三段に分けることで、看取りの際の切り返しの必然性を導き出してる。ここは凄かった。