たく

乾いた花のたくのレビュー・感想・評価

乾いた花(1964年製作の映画)
3.7
篠田監督の恋の道行きモノで、モノクロの強いコントラストの映像が「心中天網島」思い出させる。

組のために人を殺めてムショで勤め上げた男が、出所日に入った賭博場でエゲツない賭け方してる少女みたいな女と視線で一瞬にして心が通づる。
死んだように生きてる男が刹那に生きてる女と出会った感じが哀しくて、池部良と加賀まりこの親子ほど年の離れた2人のプラトニックな恋がジャン・ギャバンと少女の映画を思わせるね。

首都高でのカーチェイスが車2台だけなのにスリリングだった。

東野英治郎と宮口精二の親分格が競馬行ったりいい歳して子どもできたりと堅気のような生活を担保されてる中で、組の勢力維持のため部下に嫌な仕事を押し付けるのがヒデーってなる。
この二人が密談するシーンで壁に掲げられたダ・ヴィンチのモナリザが二人の所業を見つめてる感じとか、終盤でオペラをBGMに執行するシーンとかドラマティックな演出が印象的。

途中「チャキリスばりの」ってセリフが出てくるのが「ウェストサイド物語」公開当時だったんだなーっていう時代を感じさせる。

石原慎太郎原作、音楽が黛敏郎に高橋悠治っていう豪華メンバー。
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