ミナミミノル

オルランドのミナミミノルのレビュー・感想・評価

オルランド(1992年製作の映画)
4.8

貴公子オルランドが女王の命により財産と不老不死の体を得るも、出会いと挫折を繰り返し、やがて昏睡状態に陥る。そして目が覚めたとき、オルランドの身体は女性のそれと変化していた。というはなし。

文章や文字、学問というのは長い歴史でみたら男性のものであるという考えが圧倒的だった。女性が自由に操作し発信することというのは昨今可能になったことだと思う。
映画の中でも女性になって初めて社交界にでたオルランドは、「女性に学を与えるなどと」というような貴族の男たちの女性差別的な発言に憤慨している。

またオルランドはまだ男性であった時に詩作に燃え、詩人に自身の作品の評価を求めるも、あっさりと酷評される。
その後英国の大使として東洋の国に赴任するのだが、そこの国王とのやりとりが面白い。
互いに杯を持ち交互に言葉のやりとり(〜の為にとか〜を祝してというような)をするのだが、やはりここでもオルランドの言葉には優雅さや機知にとんだ面白みもなく、本人も戸惑ってしまう。一方で東洋の国王の述べる言葉は詩的な美しさを持ち、それでいて余裕を感じさせる。

オルランドは男であるのに文字を我が物にできない。

そして東の国王との友情が芽生えるも束の間、戦争が始まり、オルランドは彼を助けるという誓いを果たすことができない。

文字を我がものにできず、義を貫くことすらもできないオルランドは女性にならざるをえなかった。

ただ女性になり、何百年も生き続けるオルランドにも、やがて文字を獲得することができるのですが
これは是非映画を観ていただきたい。

オルランドを通して女性作家として生きたヴァージニア・ウルフが投影されているといってもいい。
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