ポピオタス

オルランドのポピオタスのネタバレレビュー・内容・結末

オルランド(1992年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

眠り続ける度に7日目であたらしい生がはじまる

木の下でひとりもの思いにふけり、自分の心のうちを話す相手がいない孤独だったオルランド

美しきロシア皇女や東方の王との出会いを経て、その時代の出来事や思想とともに、くるくると衣をまといかえながら、やがてオルランドは彼から彼女へと性別を越えて生きていく

印象的なシーンは、「あいまいな性別で孤独のまま死ぬのか?」と問われたオルランドが憤怒し、庭園の迷路の中を駆けぬけるところ

迷路から飛び出た彼女はこう叫ぶ
「自然よ 自然よ 私をあなたの花嫁にして」

迷路の先にいたシェルマディンとの出会いは彼女にこれまでとは違った変化と気づきを与える

霧の中馬にまたがり汽笛が聞こえ彼女は叫ぶ
「あれは何?」
シェルマディンは恍惚とした顔で「未来さ」と答えた
汽車は霧につつまれてみえない

霧の中のシーンからも読みとれるように、「みえない明日はいつくるの?」とロマン主義的な痛いところをするどく見抜いている彼女だが、彼女は"霧の中汽笛を追いかける彼"のことは愛しているとおもう
心から幸せを願っているのだ

だからこそ彼女は"雨と大砲の中泥まみれになりながらも歩き続ける"ことができる

最後は冒頭と同じように木の下で何百年も生きたひとつの彼女の到達点がみえる

序盤あたりは繊細な語りのタイプがちょい苦手な作品かなーとおもったのだが、庭園の迷路を駆け出す中盤あたりからはよかったです

時代を駆けぬける衣装デザインがその時代ごとのテイストなのだが洗練されていた!
ティルダ・スゥイントンが美しく着こなしているのでそれだけでも見る価値ありかとー!

メイキングはとばしとばしでみたけど、スタッフのインタビューから映画をつくる熱をかんじれてよかったです!
映画の完成度からは、まさかスタッフが嘆くような低予算&時間に追われて作られていたとはわかりませんでした

スタッフがすごい過酷な労働をしていたエピソードが聞けるが、映画づくりのために1日20時間レベル労働を数ヶ月間とかつきぬけていた…

プロやで
ポピオタス

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