結核の療養のために12年ぶりに故郷へ帰ってきたフランソワは旧友セルジュと再会する。セルジュは将来を期待されながらも子供ができたことで進路を絶たれ、その第一子が死産だったこともあり自暴自棄に陥り飲んだくれていた。パリジャンとなって帰ってきたフランソワに、より一層自己嫌悪を募らせるセルジュはますます酒浸りになっていき、妻が身籠っているのもフランソワが救いの手を差し伸べようとするのもお構いなしに放蕩に耽るが・・・
クロード・シャブロル長編処女作にして驚くほど巧みな演出で見せるヌーヴェルバーグの嚆矢。病状が悪化しているにもかかわらずセルジュを救おうとするフランソワの姿に若者の肥大化したエゴイズムを感じなくもないが「行動しなきゃいけない」という倫理観によって旧世代を乗り越えていくフランソワの姿は胸を打つ。
ラストのクローズアップも素晴らしい。傑作。