停滞した村でも、教会はご立派に存在しているが、もはや信仰は死に際の慰めでしかなく、村人の生活を良くすることなどできない。
そんな貧困社会へ、療養のため帰郷した純真無垢な青年。
酒と不貞に明け暮れる村人たちを前に、「私がこの村の手本になる」と意気込むが、まさかキリストでもあるまいし、ただただ浮き足立つのみ。
以上、導入から中盤にかけての語り口に、積極的な「白痴」への目配せを感じる。
そして、善なる存在のグロテスクな描写が続く終盤に、その現代的な再解釈を見る。
ヌーベルバーグの萌芽? この時点で既に完成してるじゃないか!