ペンバートン

南極料理人のペンバートンのレビュー・感想・評価

南極料理人(2009年製作の映画)
4.6
単調で何もない南極の日常。豆まきだったり野球だったり誕生日パーティーだったり、色々刺激を求めるけどやっぱり一番大事で生活の中心なのが「食」。退屈を必死に埋めようとする中で毎日の献立に一喜一憂する観測隊がなんとも愛おしい。特徴はないけれど丁寧に作られた温かいごはんを前にして、「美味い」の一言も言わずに一心不乱にがっつく彼らが子供のようでかわいい。伊勢海老フライや分厚いステーキ、フレンチ、中華にベチャ唐などなど色んな料理があったけどやっぱりラーメンが印象的。さすが国民食というだけあってこちらもそそられてしまう。

ただそんな「食」だけの南極の生活が中心でありつつも、電話口で故郷を想う寂しそうな声・表情からは彼らの日本における生活も垣間見える。特に年齢が近いこともあって高良健吾演じる大学院生の現実が切なかった。家族や恋人の待つ、「帰るはずだった場所」を失ってしまった悲しみは大きいだろうなあ。それと、色んなところに貼られた貼り紙も確かな生活感を醸し出していて良かった。

堺雅人の素朴な演技や、観測隊のみんなに振り回されながら母のように包み込む優しい感じが良かったなー。エンドロールのビーチバレーではしゃぐおじさん達の映像も素敵だった。