ヨシダ

アバウト・シュミットのヨシダのネタバレレビュー・内容・結末

アバウト・シュミット(2002年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

定年退職した男が人生を見つめ直すロードムービーです。

主人公ウォーレンは保険会社を定年退職した後に妻を亡くし、訪れた空虚な日常の中で、もはや自分には何の価値もないのではないかと考え始めます。
彼はCMで見たアフリカ支援プログラムに申し込み、ンドゥグというアフリカの子どもの養父となり、支援金に添える手紙に自身の心情を一方的に書き連ねながら、キャンピングカーで人生を振り返る旅に出ます。

旅の最終目的地は遠くに住む娘の結婚式。
彼は胡散臭い夫と低俗な家族に娘が嫁入りする事を阻止するはずでしたが、意に反し祝福と相手親族を称賛するスピーチをし帰路につきます。

誰もいない閑散とした家に戻ったウォーレン。
何にもなれず、何も残せなかった自分の人生に失望しますが、山積みにされた郵便物からアフリカからの手紙の返事を見つけます。
読み書きができないンドゥグの代わりにシスターが代筆した手紙には「彼はいつもあなたの幸せを願っている」と書かれ、一枚の絵が添えられていました。
その絵を見たウォーレンが、ひとり、涙を流すというシーンで物語は幕を閉じます。

本作はジャック・ニコルソンが見事としか言いようがないですね。
コミカルなシーンも多いのですが、仕事から退き、娘と妻が手元から離れていった男の孤独と哀愁と情けなさのある演技は素晴らしいものだと思います。

ラストシーンには様々な解釈があると思います。
個人的には、ウォーレンの幸福を願うンドゥグに対し、自分は金と一方的な感情を手紙で送り付けていたに過ぎないと気付き、自分の情けなさに涙を流したのかなと思います。
ウォーレンと娘との関係性にも通ずるものがありますね。
ヨシダ

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