五月王

アバウト・シュミットの五月王のレビュー・感想・評価

アバウト・シュミット(2002年製作の映画)
3.5
ジャックニコルソン演じるシュミットは保険会社を定年になりしかも突然妻に先立たれる
夫婦で旅するために購入したばかりのキャンピングカーで一人娘の結婚式のためにに旅立つ
娘の相手は怪しいセールスマン
彼の実家は低俗で粗野な連中
全てが気にくわず怒りを溜め込みながらひた走る

会社が生活の全てだった男が仕事を奪われる悲哀
何者でもなくなった自分を受け入れられない
何故一緒に住んでいるのか理解できないと思っていた妻が突然亡くなって自分が何もできないことに苛立つ
唯一の拠り所となった遠方に住む娘にあれこれ言って煙たがられる
孤独が伝わってくる

途中からロードムービーとなっていくつかのエピソードが挿入される
ユーモラスだが精神の不安定さも垣間見える
しまいには宇宙船に攫われたなどと言いだしたりする
結婚をやめさせようとして反対に娘に突き放されてシュンとなる

このように結局最後まで喪失感と怒りから逃れられないシュミット
身に積まされる老化現象だ

彼は妻が亡くなった直後ふとフォスタープランのダイレクトメールに寄付をする
そして対象であるアフリカの少年に日々の率直な心情を書き続ける
ラストでその少年からメッセージが届く
これは神の救済の手だろう
ちょっと泣けた
五月王

五月王