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地獄への道のodyssのレビュー・感想・評価

地獄への道(1939年製作の映画)
3.5
【義賊伝説――ジェシー・ジェームズ】

BS録画にて。

19世紀後半の米国に実在した銀行強盗団の中心的メンバーだったジェームズ兄弟、特にその弟のほうを描いた映画。
銀行強盗といっても義賊的に見られており、また南北戦争で敗北した南軍の残党的な意味合いもあったようです。

この映画の前半では、大陸横断鉄道建設のために農民の土地を詐欺的な価格で買いまくる鉄道会社やその経営者が悪役。それに立ち向かう兄弟が正義、という構図になっています。

当時の鉄道会社が実際にこういうふうに土地を買っていたのかどうかは知りませんが、この映画では司法なども押さえていて、言うならば「水戸黄門」で悪徳代官が豪商と結びついているようなものかと思いました。

だからそれに立ち向かう兄弟が庶民の喝采を浴びたのも当然。
この映画ではジャーナリストが社説を書く(印刷工に印字を置かせて)場面が何度も出てきますが、「民の声」がどうであったかは、非常に分かりやすくなっています。

前半はそういうわけで、定型的ではあるものの面白く見ることができました。
ただ、後半になると義賊だった人間も単なる悪人に・・・となるわけで、この辺になるとやや面白みが減退します。

しかし米国の歴史の一面に触れながら、日本にも英国にもある義賊伝説が米国にも存在するのだと分からせてくれる映画として、悪くない作品だと言えるでしょう。
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