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みなさん、さようならのcherryのレビュー・感想・評価

みなさん、さようなら(2012年製作の映画)
4.0
団地の中だけで生きていくことを決めた。団地の中にはケーキ屋もお肉屋も、生活をしていくには困らない程度のお店が揃っているから。
真っ直ぐな目でそう話す彼の姿はとても真剣で、でも観ている側にとってみたらそんな狭い世界でつまらない、と感じながら、彼の一日を観察するようにして物語は始まっていく。

濱田岳演じる悟が毎日決まった行動をする姿は、意外にも充実していて楽しそうだった。同じ事の繰り返しの中に、楽しさを見つけて行動していく彼はなんだか頼もしく、それを見ているのが面白くて楽しかった。

団地の中だけで暮らしていく理由が終始語られなかったから、その理由を知った時には一気に今作の雰囲気が変わって感じ、今作の見方が彼を見守るように変化していった。
彼が毎日決まって団地内を走り、体を鍛えている姿は違ったものに見えてくるし、笑って見ていた自分を考え直したくなった。

どこかに執着して生きていくのはつまらないし、何より自分自身が苦しい。同年代の人たちと同じような生活を送っていけばいいのに、そう思って、思いながらも彼の楽しげな雰囲気に流された。それを好んで長い間行うはずが無いのに、彼の真っ直ぐな目からそう思い込んでいた自分が恥ずかしくなった。

それでも、希望のある最後が彼に訪れて本当に良かった。
エンディングの曲も、彼の今後を応援していくのにぴったりだと思った。
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