トマス・ハリスのレクター博士シリーズを映画化した作品の中で、一番最初に作られたのがこちら。
レクター博士といえば、アンソニー・ホプキンスを思い浮かべる人が多いと思うが、この作品ではブライアン・コックスが演じていて、こちらの方が原作のイメージに近いと感じた。
とはいっても、この作品のレクター博士は序盤に少し出てくるだけで、焦点を当てられるのはあくまでFBI捜査官のグレアムと連続殺人鬼ダラハイドだ。
狂気の殺人鬼の行動を理解するためには、自らも狂気に身を任せなければならない。まさに「深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いている」ように、狂気と正気の間で揺れ動くグレアム。
対するダラハイドは、幼少期に受けた虐待により、他者に受け入れられ、愛されることを何よりも欲していた。彼が盲目の同僚女性の手を握りながら涙を流さずに泣いているシーンは切なかった。
新しい方のレクター博士シリーズもいいが、こちらの作品も観ておいて損はない。