Tatsu

レッド・ドラゴン レクター博士の沈黙/刑事グラハム 凍りついた欲望のTatsuのレビュー・感想・評価

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マイケル・マン作品にとって、LAの街と同じくらい、ビーチ、海辺(『ザ・クラッカー』『インサイダー』などに見られる)も大切な場所なのではないかと思わずにはいられない、対をなす見事なオープニングショットとラストカットのストップモーション。犯人が嫉妬に狂い暴走するシークエンス、クライマックスの窓破りのぶち上がり方。飛行機内で主人公が現場の死体写真を散らかしたまま眠りに落ち、それを隣の他人の娘が見て取り乱す、の一連や、スーパーでの息子との会話など、主人公と子供のシーンはいつだって不穏。異様なライティングや編集のキレの良さ、マン的な突き放しハードボイルドとひたすらにパラノイア的な80年代感を感じられる傑作。顔も見られない、命を救ってくれた男に名前を聞く女と、それに答える男に痺れる。
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