千年女優

ストーカーの千年女優のレビュー・感想・評価

ストーカー(1979年製作の映画)
4.0
隕石と思われる「何か」が墜落して調査に派遣された軍隊が忽然と消え去る「ゾーン」が生じた某国。やがてそこには人が入ると願いが叶う部屋が存在するとの噂が実しやかに囁かれる中、そこへの立ち入りを希望する科学者と作家を名乗る男ふたりが厳重な警備を搔い潜る案内人「ストーカー」と共にゾーンを目指す様を描いたSFドラマです。

哲学的な作風で世界的評価を得たソ連人監督アンドレイ・タルコフスキーが、パルムドールにノミネートされてその名を轟かせた『惑星ソラリス』と同じく小説を原作としたSF映画で、『惑星ソラリス』と並ぶタルコフスキーの代表作になり、公開の七年後に起こったチェルノブイリ原子力発電所事故の跡地が一部でストーカーと呼ばれました。

監督の作風と反体制志向のストルガツキー兄弟が原作で生み出した世界観の親和性が高く、観念的な主題を語る物語を長回しを多用した抒情的な映像で綴ります。かつてすがった神は死に、たかった金にも見放された虚無の中、新たな救いを未知なる空からの贈り物に求める侘しさと、それでもいつだって新たな希望は次世代だと説く一作です。
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