nanashi

トウキョウソナタのnanashiのレビュー・感想・評価

トウキョウソナタ(2008年製作の映画)
4.3
黒沢作品らしい不穏な崩壊に始まり、家族が共同体として象徴的に再生する展開が見事、な悲喜劇。抑制の効いたトーンと戯画的な表現の両方からは、可笑しさと怖さを感じた。

メンツ、才能、戦争など、人間がコントロールしきれない事象を軸に、個人の日常生活が描かれている。生活の日常性が剥ぎ取られていき、崩れつつもなお続いていく日々には、不思議と開放感があった。

それにしても、線路沿いの家の立地が印象的だった。踏み切りの見える外の風景は何度見ても飽きず、なんでもない日常を非凡なものにしていた。
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