待望の黒沢監督の作品をMUBIで無料鑑賞。美しいショットの数々。遠景の使い方が素敵で、相変わらず変な場所から被写体を捉えたショットが脳裡に焼き付く。
崩壊寸前の家族関係はいっそうのこと壊滅状態に追いやるべきだと言わんばかりの後半に畳み掛けてくる展開。同じ時間軸で父、母、長男、次男はそれぞれの瓦解を迎える。
そして、この作品には"風"が何度も登場。"風"は外部の力。内で成り立ってたものをふとした瞬間に壊す。これは、家庭内のいざこざは家族だけで解決できるものでないことの気づきにもつながる。"風"を映画内で表現するには、音だけでなく、何か靡くものが無いと観客には伝わらず、ひとりでに存在することができないんだなと、当たり前だがそんなことで物思いに耽るなどしました。
個人と社会の衝突をスクラップアンドビルドの手法で描いた素晴らしい作品。
