Masaharu

ペイ・フォワード 可能の王国のMasaharuのレビュー・感想・評価

3.9
上映から20年たった今、世間では格差や貧困が問題になっている。

貧困に陥る3つの資本の欠如の話を聞いたことがある。

金融資本、人的資本、社会資本

単に所得が少ない状態は貧乏。
貧困とは所得だけでなく、さらに家庭の問題や、社会からの孤立などが絡まり、自分の力ではどうにも抜け出せない構造にある。

シングルマザー
セックスワーク
アルコール依存
ドラッグ中毒
DV
ホームレス


まさに今問題視されている、貧困の構造に似た状況にたつ少年と1人の先生の出会いから物語はスタートする。見る限り、この少年の母親は親ガチャでいうハズレの部類だ。


さて、この物語はどういう結末を迎えるのだろう?

子供の求める愛情の本質や、
純粋な心の目で捉えた世の中や大人たちへのメッセージ


世界はクソだ。
と言いながらも、その純粋な目と心は手探りながらに希望を見つけて行く。

実にピュアで、清らかな心の変化が
そのまま表情や仕草の変化に変わる様が
見ていてとても心地良い。

では、世界はクソだ。
と言われる側の大人たちはどうだろう?
先生や母親、登場する大人たちはみんな完璧ではない。欠点だらけだ。

この映画の大切な要素の一つに、大人という存在自体が少年のピュアさと真逆に位置付けられるコントラストがある。

大人が正しく、子供は単なる幼稚な存在なのか?この映画では大人たちの幼稚さや弱さも映し出している。


みんなが言う通り、
少し現実味のない展開もあったりするが
それも含めてこの映画は楽しめるし、今の時代のあり方に疑問を感じる人ほど見て欲しい。

さて、この物語はどういう結末を迎えるのだろうか?

世界はクソではなくなったのか?

人により感じるものは様々なようだが、子を持つ親としては別のエンディングを切に願う。


少年に問いたい。
君の親ガチャはハズレだったかい?

母親に尋ねたい。
あなたの子ガチャはハズレだったかい?