愛

ペイ・フォワード 可能の王国の愛のレビュー・感想・評価

3.9
善意は時にすれ違う。エゴだったり押し付けがましかったり、持て余して行き場がなく溢れたり。いずれにしても条件付きの"pay it forword (pay backなことが多いのかしら)"の手応えの無さは期待故。実感できないのがむしろ当たり前。
善意は新たにつくるものではなく、そこにあるものだから。考えるものではなく、気付くものだから。

不特定多数の人間が目にする場所にネガティブを吐露するのは性に合わないので決して悪い意味ではなく、ということを前提に。
トレバーのラストシーンについて様々な考察や賛否両論があるけれど、ボトムギバーの末路をわかりやすく優しく描いているように感じるのだ。与えられることを知らない者が与え続け最後には奪われる。よく見る光景ではないか。

先生と子供というビジュアルから、一見当たり障りのない綺麗な道徳の物語と思わせるがそうではなくまるで「自己犠牲型のギバーは不幸になる」という教訓をアンサーとするビジネスメディアの箸休めコラムのよう、という受け取り方は非情だろうか。

思いやりに頭を使うなんてナンセンスなのに、そうでもしないと搾取されてしまう穏やかじゃない世の中で、秘密の花園のようにたまにこっそりと現れる小さく優しい世界に出会った時、やっと上手く呼吸ができる気がする。
愛