Takumu

海と毒薬のTakumuのレビュー・感想・評価

海と毒薬(1986年製作の映画)
4.2
『神なき日本人の罪意識』

かなり前に、渡辺謙好きの知り合いが教えてくれた今作。すでに渡辺謙は日本人離れしたオーラを放っていた。声が小さい上に方言が多くて聞き取りに苦しむシーンが多いのに注意。

映画は、テーマと演出は良かったが終わり方がなんとも中途半端な気もした。しかしながら、鬼気迫った生体解剖のシーンはまさに心臓を掴まれたような気さえするパワーがあった。その場面では、奥田瑛二演じる勝呂(すぐろ)だけが正気を失っており、その姿に異質を感じ、人によってはその自分勝手な行動を苛立たしく思うかもしれない。けれど、おかしいのはその他大勢なのだ。むしろ勝呂だけが正気であったというのが恐ろしいところ。主役の研修医2人、勝呂と渡辺謙演じる戸田の対比も見事だった。

また、有名な話かもしれないが、原作者の遠藤周作はキリシタンであったというのを頭に入れてから鑑賞すると発見があるかもしれない。

タイトルもインパクトある。
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