みおこし

アメリカン・ポップのみおこしのレビュー・感想・評価

アメリカン・ポップ(1981年製作の映画)
3.6
四世代に渡るユダヤ系の一家の変遷を通して、アメリカの音楽史を紐解くアニメーション映画。
ラルフ・バクシといえば『指輪物語』や『フリッツ・ザ・キャット』など、あらゆる点でディズニーとは対照的かつ大人の鑑賞に堪えうるアニメーションを世に送り出してきた作家。そんな彼が激動のアメリカを、ロトスコープ(実写の人間の動きをトレースしてアニメーション化する)技法を使って描く前衛的な映像にシビれます。

ユダヤ系ロシア人の青年がアメリカに渡ってきて、第一次世界大戦・第二次世界大戦・朝鮮戦争・ベトナム戦争と激動の時代をその子供たちが乗り越えていく過程は見ごたえたっぷり。アニメーションと思えないほどに生々しい暴力描写もある点はバクシならでは。

ライセンス料が莫大すぎて興行収入に響いたというサウンドトラックも素晴らしくて、デイヴ・ブルーベック、サム・クック、ドアーズ、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス、ママス&パパスなどジャンルも時代も異なる錚々たるトラックリスト。
アメリカ音楽に興味がある方は必見です!シュールな世界観は好き嫌いが分かれるかもしれないけれど、個人的にはとってもハマりました。
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