ブラックユーモアホフマン

レネットとミラベル/四つの冒険のブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

4.6
この2人のことをずっと見ていたい!
四つと言わず、ドラマシリーズのようにもっと幾つも観てみたい。

珍しく恋愛の話じゃなくて、二人に男の影がないのも安心して見ていられるポイント。
性格や主義主張の異なる二人だけど、両方に共感できるからすごい。

ロメールの映画に出てくる女性はファーストショットですぐに観客を恋に落とす。すごい。キャスティングや衣装ヘアメイク等の妙技だろう。

二人の出会いを描く第一話「青い時間」は『緑の光線』と同じような、特定の条件が揃わなければ体験することのできない貴重な自然現象を求めるロマンチックな話。
自分のした素敵な体験をぜひ友達にもそっくりそのまま体験してもらいたいと思う気持ち、分かる。
隣家を訪ねるシーンがドキュメンタリー的なのも面白い。ヴァルダの映画みたいだと思った。

パリに場所を移した第二話「カフェのボーイ」。変な男が3人出てくる。
幼く見られるのか、不当に理不尽な対応をされがちなレネット。その気持ちも分かる。そしてだからこそズルしたくない、自分の正当性を認めさせたい気持ちも分かる。

お金を恵むことや軽犯罪に出くわした時どう振る舞うかという倫理観について語られる第三話「物乞い 窃盗常習犯 女詐欺師」。パッと聞き正論なのはレネットの主張だけど、現実問題どう?って言うとミラベルの主張の方が正しく聞こえる。
それほど長くない議論シーンと、三つの短いエピソードの連なりで見事に分かりやすく問いを投げかける。道徳の授業で見せたい。

レネットが沈黙の誓いを立てる第四話「絵の売買」。これはもうコント。一番くだらないw でもこうやってずーーっと喋ってる人って本当にいるよね。そこのリアリティすごい。おんなじ話を色んな言い方(酷い場合いろんな言い方ですらなく)で何度も何度も飽きずにする人。もうわかったって!!「いやに無口じゃん、なんか喋んなよ」ってあんたがずっと喋ってるから喋れないんでしょうが!!

ミラベル役のジェシカ・フォードさんは俳優も続けつつ写真家になって映画のポスターとかも多く手掛けてるんだそうだ!

【一番好きなシーン】
第一話第二夜