ロバートデニーロの代表作
自分は「レナードの朝」のレナード役でデニーロにハマったというどちらかというと異端なのですが、そのデニーロの代表作ということで随分昔に本作を観た記憶はあるもののほとんど内容を覚えていなかったことから今回久しぶりにNetflixで観賞
良いところから書くとまず音楽が素晴らしいです
多分同じモチーフだと思いますが甘いメロディと現代的で緊張感のあるアレンジの対比がもうそれだけでお釣りが来る格好良さです
また雨ににじんで揺れるネオンライトを始め目眩のするようなクラクラした映像も素晴らしいなと感じました
一方、ストーリーについては
①トラヴィスが余りに惨めすぎる
②ストーカー気質のトラヴィスが一瞬でもモテる理由が分からない
③唐突に付け加えられたようなラストの解釈がしっくりこない
という感じでちょっと消化不良気味です。
まずトラヴィスの前職は自らの経歴として元海兵隊員と告げられますが実際に海兵隊員として勤めている時のシーンはなく自分にはそれが本当かどうかも分かりませんでした
実際にも戦場でのトラウマ体験のフラッシュバック等の演出もないので単にイケてない陰キャが悶々とした日常を過ごしているだけのように見えて余計に惨めさが際だってしまいました
かと思いきや唐突に美人ベッツィーに目を付けるのですがサイコ感満載なのに何故かデートに応じてもらえたりするのもかなりの違和感がありました
その後、当然のごとくベッツィーに嫌われ、逆恨みから大統領候補を狙うようになるのですが,それは良いとして並行して売春宿への怒りも高じて目標がどっちつかずになります
そして大統領候補暗殺に失敗すると勢いで計画を切り替え?売春宿は壊滅させたものの自殺するつもりが弾切れとなり問題のラストシーンに流れます
このラストシーンの解釈が人によってかなり分かれていて大まかに
①なんやかやでハッピーエンド説
②死んで格好良く終わるつもりが死に損ねて変な感じになった説
③死ぬ間際に見た妄想説
④場当たり説
に分かれているように思います。
自分は①では蛇足感が酷く余りにストーリーのテンションが変わってしまうため,当初は②に近い感想を持ちましたが,それでもまだまだ都合の良すぎる点が多く,他方,③は死ぬ間際の妄想にしては長いので,結局は④なのかもしれませんが,どの説も決め手に欠けているように思います。
もっともこの解釈が分かれる状態こそが,この映画を後世に語り継ぎ,その後の多くの作品に影響を与えてきたのだろうなと映画のマジックを改めて感じました。