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タクシードライバーのYOのネタバレレビュー・内容・結末

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

1970年代ニューヨーク。ベトナム戦争から帰還しタクシードライバーとなった主人公トラビスは孤独に悩まされる。
映画の前半はトラビスの孤独さに情を抱き、高嶺の花のベツィとの恋愛を応援したい気持ちになる。
しかし次第にトラビスの行動がおかしくなり、共感が裏切りへと変わっていく。世の不情と思い通りにいかない恋愛が重なり、精神が不安定になっていくトラビス。いつ何をしでかすか分からないハラハラ感が常につきまとう。
映画のクライマックスでついにトラビスの孤独と怒りが爆発し、売春宿で大暴れ。しかし到底ヒーローとは言えないトラビスが新聞記事で英雄として称えられている。フラれたはずのベツィがトラビスのタクシーに乗りこみ、何か言いたげな表情。
一見ハッピーエンドを装うが、最後のトラビスの表情は、また何かをしでかすだろうというのを匂わせる。どこまでが本当の話なのか、どこまでトラビスの思いこみなのか。視聴者に委ねられる形で終わる。

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ニューヨークの美しさと汚さを同時に表現する、スコセッシの街に対する愛を感じる。カメラワークと音楽はとにかくお洒落。50年経っているとは思えない映像の美しさにビビる。
孤独がもたらす人間の不安定さや勘違いが良く表現されていて、そのへんのホラーより怖い。好き嫌いが分かれるラストだが、結局何が事実だったのか、トラビスがまた何かやらかすのではないかと、視聴者を不安にさせるopen endingだからこその怖さだと考える。
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