Tomo

タクシードライバーのTomoのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.5
40年前以上前の治安の悪いニューヨーク、ベトナム帰りで不眠症のトラヴィスはタクシードライバーとして働き始める。
ある日、選挙事務所で働くベッツィに惚れデートすることとなるが、いきなりポルノ映画に連れていったことで、彼女の怒りをかい、以後連絡がとれなくなる。
彼女の勤める選挙事務所に押入り、罵声を浴びせ、追い出されるトラヴィス。また以前トラブルに鉢合わせした娼婦アイリスを見かけ、この町に蔓延るゴミ達を自ら掃除しようと決意する....

孤独なトラヴィスにとっては、ベッツィに相手にされなくなったことで、人間そのものは自ら退治すべき対象になったのではないか。
大統領候補暗殺をしようとしたのも、店の強盗を射殺したのもその表れ。
娼婦アイリスについては、彼女を金ヅルとしていた2人をゴミの象徴として躊躇なく殺害。駆けつけた警官の下、指で頭を撃ち抜くポーズをとる。しかしながら本当は自分は悪ではなく、ゴミを退治したことは当然のことをしたというように感じる.....

いろいろ解釈できる映画でした。社会適応力の弱いトラヴィスの妄想からの実行、これは、現在ストレス社会においてどこにでも存在するのではないかと。それだけにもしかしたら自分にも、そんな風に捉えることもできます。

しかし、マーティン•スコセッシ監督作品は鬱蒼とした印象が強いですね。この映画も映像はさることながら、テーマ曲?として随所に流れる、主旋律にティンパ、ハープ、シンバルが奏でる何とも気持ち悪い不協和音、これが映画の鬱屈さを更に際立たせて感じます。
Tomo

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