柚子

タクシードライバーの柚子のレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.6
ニューヨークという大都会の片隅でビルや人々や喧騒に囲まれながら生きざるを得なかった一人の孤独なタクシー運転手・トラヴィス(ロバート・デニーロ)が主役の物語。
何をやっても上手くいかない。
でもこのままではいられない。
何かを始めなくてはいけない。
でも何をしていいのか分からない。
自由の国の理想と現実のギャップはトラヴィスの心をさらに荒ませ、街から感じる疎外感と孤独は彼を狂気へと駆り立てていく。
精神的に追い詰められたトラヴィスは自分の存在を証明しようと狂気によって居場所を求めた。
彼は元から狂っていたわけではない。
社会や民衆が彼を、彼らを狂わせたのだ。
決して遠い世界の話ではなく、どこにでも起こり得る話なのだと思った。
40年以上前の映画ながら、現代社会にも通底する奥深い作品。
柚子

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