だんぷまみず

タクシードライバーのだんぷまみずのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.0
課題2ー⑨
孤独な男の偽英雄譚。

場当たり的な殺人が何故か結果的に上手くいってしまう展開が、どうしても好きになれない。
孤独感ゆえ夜も満足に寝られないトラヴィスが自分が信じた方法で世界を変えようとする。タクシーはまるで潜水艦や宇宙船の様な感じで、嫌いな汚い世界を覗く窓。
登場する女性2人は品行方正なベッツィと、未成年家出少女で娼婦のアイリスと両極端。当然手に負える訳もなく。身の程知らずで背伸びをせずに、タクシー運転手仲間と仲良くやれば良いのに。自分中心に世の中が周らないのを、世の中に責任を押し付け、自分の居場所がないので、孤独へと逃げていく。
注目されたいがために良い行いができる筈もなく、悪い方向で目立つためにパランタイン銃撃を試みるが、それもできずに売春宿に殴り込み。これが何故か良い方向に転がってしまったもんだから、味を占めて自分は特別なんだって思い込み、繰り返されるであろう負の連鎖。

音楽がすごく印象的。銃撃戦後の上からの俯瞰になるカメラワークも。