川口松太郎の原作「利根川鴉」を伊藤大輔が脚色監督した、伊藤の大映最後の作品。しかも伊藤には珍しい股旅もの。片腕のない旅ガラスカツシン、死んだ女房にそっくりな女の出会う。だが、亭主持ちだった。亭主は宮大工の彫り物師で、リウマチの治療で温泉場に来ていた。だが、バクチ好きで有り金全部を巻き上げられ、女房の義太夫が語りで稼いでいた。亭主にいかさまだと教え、二人で大暴れするが…。面白いけど、伊藤作品にしては物足りなさが残る。片腕、宮大工の彫り物師も腕が不自由という設定が、この後活きてはくるものの、大暴れした後の余韻がないのだ。