とっとこハゲ太郎

ロシュフォールの恋人たちのとっとこハゲ太郎のネタバレレビュー・内容・結末

ロシュフォールの恋人たち(1966年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

さまざまな愛の形が表現されていた作品であった。イボンヌとシモン・ダムは、昔愛し合ったことを今も忘れられずに離れ離れになった後もふと相手のことを思い返し、そしてイボンヌの双子の娘の姉、ソランジュはひょんなことから出会ったアメリカ人の中年男性と相思相愛関係になり、妹のデルフィーヌもまた、除隊間近の画家、マクサンスと運命の恋に落ちる。そんなデルフィーヌを離すものかと躍起になる金持ち、ギヨームは無情にも彼女から「もうあなたは好きじゃないの。金じゃなくて心で愛してほしかった」と愛を拒まれる。彼と同じように愛を拒まれるも、それを受け入れられなかった老紳士デュトルは、激情が抑えきれず長年の恋人を殺めてしまった。この映画のタイトルは、以上のようなさまざまな恋愛模様を一言で簡潔に、そして見事にまとめてくれたという点で、シンプルだが秀逸なものである。「シェルブールの雨傘」と同様、非常にデート向きの映画である。愛する見知らぬ相手のことをずっと思い続け、最後には大団円が待っている、というのは話がうますぎると感じるほどに素晴らしい。

「雨に唄えば」に出ていたジーン・ケリーも米語なまりのフランス語でミュージカルに挑戦。
ソランジュを演じていたフランソワーズ・ドルレアックはとても魅力あふれる女優だったが、この映画が公開された1967年に、彼女は交通事故でわずか25年の短い人生の幕を閉じてしまう。このことを知っているかどうかで、この映画の見方もまた、変わってくるのではないかと、自分は思う。