靜

ブリッジの靜のレビュー・感想・評価

ブリッジ(2006年製作の映画)
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その橋から飛び降りることを決めた人たちの落下する瞬間を定点カメラで捉え続けるだけでなく、死に至った人の家族や友人へのインタビューで構成される。
こうして書くと悪趣味だけど、あくまで淡々と単調に引きの目線で映す。

理由は、誰かのせいでもなく何かのせいでもない。極めて個人的なことだと分かっているけど、そこに関われなかったこと、蚊帳の外だったこと、その人を世界にとどめるだけの力が自分になかったことを、とめどなく考えて苛まれる様子がいたたまれなかった。

ずっと橋の上で逡巡し、右往左往し続ける長髪の男性の姿が合間に映し出されていた。
ラストに、彼が飛び込む姿は本当に美しかった。背中からまっ逆さまに、ひらりと。迷いがなく無駄な力も入っていない。不謹慎だけど、本当に美しいと思った。思ってしまった。もう10年以上経つのに、焼き付いて離れない。
彼が間際に何を思ったのか分からないけど、一時の幸せが訪れていますように。
靜