チッコーネ

淑女は何を忘れたかのチッコーネのレビュー・感想・評価

淑女は何を忘れたか(1937年製作の映画)
3.0
似たようなテーマを執拗に撮る監督だが、『お茶漬けの味』のプロトタイプがあるとは知らなんだ。
もちろん全体的に内容は劣るが、こちらは全編の背後に、セックスの存在があけすけに漂う艶笑もの。主演がお世辞にも美しいとは言えない栗島すみ子だからこそ、可能だった作風という感じである。
桑野通子のキャラクターも、サバサバを通り越し、まるでレズビアン。斜めかぶりの帽子がマニッシュだ。

編集はまだ洗練されておらず、カットを繋ぐ台詞から始まる俳優の演技も不自然で、カチンコの音が聞こえてきそう。
本筋とは関係のない風景や舞台の撮影もいやに長くて、やや眠くなる。