佐藤克巳

怒りの街の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

怒りの街(1950年製作の映画)
3.5
1948年東大生闇金融事件光クラブ事件が及ぼした日本社会の衝撃度合を示す成瀬巳喜男監督の問題作。祖母東山千栄子、母村瀬幸子、妹若山セツ子を養う息子原保美は、学生乍ら友人宇野重吉と共に、ダンスホールで令嬢を手玉に取り高収入を得た。宇野は、恋人だった若山に説得され改心したが、原は、東山が急死してもこれ幸いと居直る偏執狂者に変貌していた。朝鮮戦争による特需で復興の兆しが出て来た本年で、歯科病院を表看板に闇取引で稼ぐ浜田百合子の強かな女に憧れる原は金策に焦り、久我美子、木匠久美子に再び手に掛けるが、ダンスホールを根城にするヤクザ木村功の差金で顔を切られるが、「時計じかけのオレンジ」よろしく益々悪辣感を増大させた結末に思える。
佐藤克巳

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