ENDO

怒りの街のENDOのレビュー・感想・評価

怒りの街(1950年製作の映画)
4.2
成瀬監督らしからぬサスペンス。光クラブ事件に憧れる不良学生コンビの物語。宇野重吉と原保美。ジゴロによる搾取。森がシナリオを書き須藤が実行する。戦争が人間を変えてしまったのか。森は戦友や須藤の妹と会い本来の優しい自分を取り戻すが、決別により須藤は暴走。貞操を捨てみるみる淪落する。男のクズぶりが周りに被害を及ぼすのが成瀬映画の原動力。須藤は身内にとっては説得不可能なモンスター。しかし社会的地位は低く、口先以外に武器を持たない悲哀に満ちている。転落前に強制終了。成瀬のラブシーンは簡素。背伸びする女性の足。揺れる花、回される腕。なんだか笑える。久我美子は脇役だが美しい。木村功のシーンはほんの僅かだが、ゾクゾクする危険な笑みで全てを持っていく。暴力的な妖艶さ。道徳を描いた映画なのにこういう挿入だけで最高だと思いました。辻斬り怖い。登場人物たちは出てきては消えていく不思議さ。柳谷寛がいい味出してた。
ENDO

ENDO