がちゃん

39 刑法第三十九条のがちゃんのレビュー・感想・評価

39 刑法第三十九条(1999年製作の映画)
3.6
ここでいう刑法39条とは、
「心神喪失または心神耗弱にあるものはその罪を罰せずまたは軽減する。」ということである。

この法律によって、いままで幾度となくやりきれない犯罪が起き、
さばかれてきた。

アパートの一室で妊娠中の妻と夫の二人が殺害される事件が発生。
程なく犯人は捕まった。
劇団員の柴田だった。

その事件の公判中、柴田は意味不明で異常な発言を繰り返したため、
精神鑑定が依頼される。

鑑定人に選ばれたのは、
精神科教授で初老の藤代と助手の女性小川香深。

鑑定中にも柴田は突然凶暴性を発揮し、
鑑定人に襲い掛かる。

藤代は、「解離性同一性障害」(多重人格)と判定するが、
小川は柴田が詐病を使っているのではないかと疑いを持ち・・・

この作品は刑法39条に対する挑戦です。
今まで、皆思っているのに、なぜかタブー視して触れてこなかったものに、正面から取り組んでいきます。

こういう物語は、
役者が下手だとリアリティを欠き、絵空事に思えてしまうのだが、犯人役の堤真一、鑑定士の鈴木京香をはじめ、弁護士の樹木希林、検事の江守徹、全員見事。

脇役の岸部一徳も巧い。

小川香深の家の事情が、持って回ってちょっとくどくなってしまったのは残念だが、クライマックスの公開判定は、鈴木京香と堤真一の体当たりの演技がぶつかり合い、本当に見応えあり。

小川は言います。
「刑法39条は犯人の人権を守っているのではなく、人権を奪っているのではないでしょうか」
重い言葉です。

それでも、
理不尽な判決はこれからも無くならないのでしょう。
がちゃん

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