うりた

39 刑法第三十九条のうりたのレビュー・感想・評価

39 刑法第三十九条(1999年製作の映画)
3.7
不安定な構図/殺された色味/不安を煽る無音/どこか現実離れした夢の中のような浮遊感
森田芳光監督のセンスが何もかも好き
決して明るい映画ではないのに大好きな世界観に浸ることが出来て私は今幸せに満ちています。眼福。

森田監督の『ときめきに死す』に「涼しいですね」という台詞があるけれど、森田作品全般的にその「涼しさ」が流れていると思う。
熱量を感じない。スーッとした透明感と裏腹に立ち込める漠然とした不穏な空気。
空が晴れているのに手放しで喜べず、心がザワザワする。そんな雰囲気に何故か私の心は踊る。笑

主題としては刑法39条なんだろうけど、香深(いい名前!)自身の心が柴田に触れて救われたという面に注目したい。
これまた私の大好きな黒沢清『CURE』を思い出した。
公開鑑定辺りからあまりトリッキーさが見られず、前半ほど攻めてなかったのが残念。
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