ジョーカーで話題が持ちきりだが、この映画も中々に重厚感に溢れている。ジョーカー同様、この映画も手放しで人にオススメできないが、ぜひ見て欲しい。
「豪華キャストが勢揃い!!」みたいなキャッチコピーのドラマ・映画は山ほどあるが、それらと比較にならないレベルの映画である。鈴木京香、堤真一、岸部一徳、江守徹、樹木希林、勝村政信、笹野高史、國村隼など、挙げると切りがない出演者の層の厚さを誇る。しかし、この映画の売りはそこではない。
鬱蒼とした天気、生命力を感じない自然の風景、無機質な建物、全てにおいて物語の陰鬱さを演出している。
この映画において明るい人間など存在せず、登場人物は基本的に腹から声を出さない。しかし、言葉1つ1つの重さが尋常でなく、演者の演技力の高さは言うまでもない。
刑法第39条を1つの軸とした映画で、正義とは何かを語りかけているが、そんなことを考えるだけの余力がないくらいに観る者のエネルギーを奪い去る。
脚本、演出、音響、どれを取っても文句の付け所がない邦画である。