くま

39 刑法第三十九条のくまのレビュー・感想・評価

39 刑法第三十九条(1999年製作の映画)
5.0
ジョーカーで話題が持ちきりだが、この映画も中々に重厚感に溢れている。ジョーカー同様、この映画も手放しで人にオススメできないが、ぜひ見て欲しい。

「豪華キャストが勢揃い!!」みたいなキャッチコピーのドラマ・映画は山ほどあるが、それらと比較にならないレベルの映画である。鈴木京香、堤真一、岸部一徳、江守徹、樹木希林、勝村政信、笹野高史、國村隼など、挙げると切りがない出演者の層の厚さを誇る。しかし、この映画の売りはそこではない。

鬱蒼とした天気、生命力を感じない自然の風景、無機質な建物、全てにおいて物語の陰鬱さを演出している。

この映画において明るい人間など存在せず、登場人物は基本的に腹から声を出さない。しかし、言葉1つ1つの重さが尋常でなく、演者の演技力の高さは言うまでもない。

刑法第39条を1つの軸とした映画で、正義とは何かを語りかけているが、そんなことを考えるだけの余力がないくらいに観る者のエネルギーを奪い去る。

脚本、演出、音響、どれを取っても文句の付け所がない邦画である。
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