みおこし

女ざかりのみおこしのレビュー・感想・評価

女ざかり(1994年製作の映画)
3.7
吉永小百合さんが新聞社で働く中年のキャリアウーマンに扮した大林宣彦監督作品。最近ふと気づいたのですが、邦画って”コメディ”とか”ラブストーリー”とかジャンルを一つに絞るのが難しい作品が多いなと。本作も一言で括るのがちょっと難しかったです(笑)。

新日報社で働く弓子は、念願の論説委員となり初めての社説を執筆する。しかし、その中で言及したある表現がとある宗教団体を怒らせてしまい、上司たちに左遷を言い渡される。しかし、それには屈しない弓子は愛人の大学教授・豊崎や、同僚の浦野に助けを求めながら奮闘するのだが…。

津川雅彦さん、三國連太郎さん、風間杜夫さん、岸部一徳さんなど、錚々たる俳優さんが一堂に会した本作。男ばかりの新聞社で、常に冷静沈着に理知的なふるまいを続けながらジャーナリズムに奔走する主人公・弓子の葛藤を描いた作品。かといって単純なビジネス・サクセスムービーというわけでもなく、彼女を取り巻く男性陣との交流や、彼女の娘(藤谷美紀さん)のエピソードも描かれるので、人間ドラマとしての印象が強かったです。
ただ、男性たちの弓子に対する視点が何とも気持ち悪い(笑)。まるで思春期の中学生のように、弓子の一挙一動に発情するおじいさん、おじさんたちの図には、いったい何を見せられてるんだ…と戸惑いを隠せず。特に三國さん扮する浦野は、弓子に対する淡い恋心をだんだん顕著に外に出すようになってきて、「いじらしいなぁ」とはとても思えませんでした。突然動物の交尾について熱く語りだす豊崎役の津川さんの語り口もある意味さすが(爆笑)。大林作品らしい、ちょっとスケベな要素は本作にも表れていたのかも…。

今観るとちょっぴり時代を感じる演出もたくさんあったけれども、どの時代の女性が見ても元気がもらえる作品なのは間違いなし!
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