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ヨシワラのかのレビュー・感想・評価

ヨシワラ(1936年製作の映画)
3.9
これは見る価値のある映画。見れてよかったな思えた映画。

日本が舞台なのに、キャストに東洋人は少ない。メインキャストはロシア人と日本人で、フランス語で会話する。

なによりも人種の問題、言葉の問題が大嘘なのだが、それを何も問題とせずに堂々と描き切っている。やり切っているので、見る側もこの世界をおとぎ話として信じられる。

1937年の映画だが、演出や表現のあり方がかなりサイレント映画的だ。基本的に顔面芸術で感情を示すし、登場人物たちはサイレント名作にありがちな、一つの行動原理だけで動き続けるプッツン系の人々ばかり。エイゼンシュテイン的なモンタージュも散見される。

オフュルス初期の作品だが、華やかな人間賛歌として映画を表現している気配が随所にある。ヨシワラの門が開いて、客も街人もワイワイしている動的なショットはさすがオフュルス。

全体的にとても美しいショットを積み重ねており、非常に力が入ったお伽話という感じ。
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