Nanami

伊賀の水月のNanamiのレビュー・感想・評価

伊賀の水月(1942年製作の映画)
4.3
剣豪・荒木又右衛門が義理の弟の仇討ちを助太刀する話。

序盤から剣の腕が鳴り見せ場が多い又右衛門に対し、義理の弟の数馬は中性的で頼りない印象が最後まで消えない美青年。

いざ仇討ちに向かう時の移動シーンが異様に長い。しかし数馬御一行が馬を走らせるところをかなり引いたアングルで撮ったりと、長旅を感じさせる工夫は凄いと思った。

「荒木又右衛門、助太刀いたーす!」と名乗り出た時の相手方のザワつき具合で又右衛門がどれだけ強いのかわかる。「荒木が出たぞー!」とまるで化け物のように叫ばれるのが何だかおかしい。

数馬には仇討ちに集中させ、取り巻きたちを斬りまくる又右衛門の立ち回りのなんと鮮やかなこと。しかもちょいちょい数馬を気にしながら。さすが阪妻としか言いようがない。40人くらい斬ったんじゃ?かっこよすぎる。
竹に掴まってのターザンみたいな移動も凄すぎ。もはやアクション映画!

ということで阪妻が強すぎる作品でした。
殺陣は然ることながら阪妻の常人離れした眼力、顔面の迫力で成り立っているよう。
ストーリーもわかりやすくて面白いのだが。

時代が時代なので全体的にセリフが聞き取りづらいのだが、声にコンプレックスを抱いていたという阪妻のセリフが一番発音がはっきりしていて聞き取りやすい。努力の賜物なのだろうかね。
田村正和の声に近いと思った。阪妻の独特の発声は正和に受け継がれたのか…
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