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地球の静止する日の映画初心者のレビュー・感想・評価

地球の静止する日(1951年製作の映画)
3.6
古典SF作品。今見ても普通に面白いですね。風刺映画

アメリカにUFOが飛来した。地球の危機を防ぐためにやってきたという。各国首相を招集することを求めるが、現実的に不可能だと突きつけられる。宇宙人は重大さを知らしめるためにある作戦を実行する。

当時が冷戦だったと考えると風刺作品ですね。原子力の危険性、各国の考えが揃わない、そういった状況を外部の宇宙人視点から描く。マクロな視点から描きがちな内容をミクロな視点から描いているのは面白いですね。具体的には宇宙人が宿を営む一家の子供と仲良くなり、観光に出かけたりするなど。見ている観客はその宇宙人の言動から不審さが無くなり善の存在へと感じるでしょう。これによって、宇宙人が行おうとしていることは善であり、この世界の状況が悪だと理解させることに繋がっています。

物語はさておき、宇宙人のビジュアル。ヴェルヌ作品ではタコ型の宇宙人などが登場しますが、本作品では完全に人間。瓜二つ。ちょっと拍子抜けしてしまう感じも含めて印象的。

演出は、初めて宿屋に入った宇宙人のシーンが良いですね。ライティングによって宇宙人の顔が影になり隠れ、表情が分からない。そういった「謎の人物」であることを強調して不穏さに繋がらせている、そして一歩踏み出すと明かりが顔に当たり、不穏が消える。よく使われる演出手法ですが、効果的でした。

【総評】
風刺映画。古典SFですが、ミクロ視点、少年と宇宙人の交流を多くの尺を使って描いているのが良いです。すぐに本題に入るなどテンポが良く、今見ても面白い。

追記:教授の顔が最高にthe学者で良い

余談:
「地球の静止する日」だから地軸を止める話かと思いましたよ、実際には電気を30分だけ使えなくするようにするだけだった... そこのシーンはもっと劇的に描くと、より良くなったんじゃないかなと思ったり。
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