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裸の拍車のhasseのレビュー・感想・評価

裸の拍車(1953年製作の映画)
3.7
賞金稼ぎと賞金首、その他道連れ計5名が繰り広げる西部劇×ロードムービー。
5人はアビリンという町まで旅をするが、少しでも弱味を見せようものなら裏切られかねない、絶妙なバランスの関係性が常に緊迫感を醸成している。

アメリカンジャスティスの権化とも言うべきジェームズ・スチュアートがダーティな賞金稼ぎケンプを演じる異色作。が、ラストはやはり真っ黒にはなりきれなくて、リナ(ジャネット・リー)の説得に根負けして人生をやり直す決意をする。リナは目先の利益や欲望しか見えていない他の連中とは異なる、ケンプの真っ当な人間性を見抜いていたし、信じていた。最後までダーティを貫く所存だったケンプが、リナのまっすぐな言葉と瞳にやられて転向して、THE ENDというキレのある演出は素晴らしい。最後のジャネット・リーの顔のアップ、私はあなたを信じるからねという表情がとてもよい。

悪党ベンを演じるロバート・ライアンはクセになる俳優だ。いやーなことをたくらんでいそうなニヤケ面が、次の展開を期待させてくれる。駆け引きでは常に一歩リードするズル賢さがあるのに、ハイグラウンドを取っても愚直な崖よじ登り作戦に二度も敗れるおじさん。

腹黒いおっさんどもの男性社会で心汚れることなく生きるジャネット・リーが健気で可愛い。
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