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喜劇 とんかつ一代のmのネタバレレビュー・内容・結末

喜劇 とんかつ一代(1963年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

旅先のホテルで観て、ほぼ寝てしまった。美味しんぼの元ネタのような台詞があった気がする。

『若大将』シリーズの田能久(古澤版)といい、本作に登場する青龍軒といい、東宝プログラムピクチャーにおけるトポスに関しては一考の余地ありだろう。それというのも、前者のロケ地は浅草・今半であり、後者のモデルとなった上野精養軒は、現在に至る迄の松竹映画のイメージを築いた城戸四郎の実家・北村家が創業しているからだ。

これらの作品に対し、1954年に初代が製作されて以降、東宝の看板映画(というよりも東宝の歴史とは自らのアイデンティティを意図的に排除してきた歴史に他ならず、この点に東宝が映画会社ではなくディベロッパー的な性質を色濃く持ち合わせていることが伺えるだろう)である『ゴジラ』シリーズにおいて、巨大怪獣の花道となるのは、かつて日劇が存在した有楽町エリアである。ここでは、ある時期までの日本の喜劇人にとって、浅草→有楽町への「進出」はエリートコースであったという事実にだけ触れておくことにする。森繁や加山といった「純東宝」人が、一方ではすき焼き屋の若旦那を演じ、もう一方では上野でとんかつ屋を営む男に扮してしまうという抵触は、東京駅丸の内口に聳え立つ某高層ビルが頂点を去勢された歴史的事実にも似て、ロラン・バルトというよりは、吉田喜重的な関心を掻き立てるものだ。

森繁のキャベツみじん切り
またみる
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