喜劇 とんかつ一代の作品情報・感想・評価

「喜劇 とんかつ一代」に投稿された感想・評価

上野広小路近辺のお店が舞台ですが、「井泉」にこの映画のスチールが飾られていたから、ここがモデルか?
以前、新文芸坐でみた(2003年5月8日)フィルムは劣化して まっ赤だったが、今回はニュープリントのように綺麗
長年見たかった夢が叶った🐷やはり最高でした。またじっくりとレビューし直したい
紅孔雀

紅孔雀の感想・評価

5.0
まずは、2015年池袋新・文芸座でのリバイバル上映時のチラシより。
「『食べる者にはテーマがなきゃ、ダメです』と語る食通・川島のグルメ映画。とんかつを揚げる油越しのアングルなど岡崎(宏三カメラマン)の奇抜な撮影、クロレラ研究者など奇人たちが続々登場する川島らしい一篇。森繁歌う主題歌(「とんかつの唄」)が楽しい!」
ほとんど過不足ない解説なんですが、あえて蛇足を。つまり私にとって、それほど気に入った日本喜劇映画の一頂点ということです。
6年前に傑作『幕末太陽伝』でタッグを組んだフランキー堺を森繁の義理の弟に配し、さらに当時、駅前&社長シリーズで常連だった加東大介、三木のり平、淡島千景、池内淳子も登場。また新顔の団令子が、登場早々フランキーと濃厚なキスシーンを演じて、コケティッシュな魅力を振り巻きます。
ここでチラシにあった「奇人」のうち、極め付けの奇人2名をご紹介。
山茶花究は、世界豚殺しコンテストNO1だが、何故か異常な清潔好き。脱脂綿で辺りを拭きまくる姿は、コロナ禍の現代を思わせます。
三木のり平は、当時、注目されていた健康食クロレラ(!)の研究者。その発明品の一つが「何はなくとも江戸緑(←紫ではない)」というのも可笑しい。
また、昔雑誌の付録についていた「ソノシート」が新装開店レストランの記念品となっているのも時代を感じさせてくれました。駅前&社長シリーズほどに爆笑はさせないが、一流の喜劇とはこれだ、という川島監督の自負に満ちた顔が見えるようです(この年、彼は45歳で早逝。まさに早過ぎる死でした)。
なお、川島監督の好物はトンカツだったそうです。
もっと集中して観たら結構楽しめたはずなのに、夜仕事抜け出して観るのでどうしても疲れてちょっとは寝てしまうし、散漫になった面がある。
カズ

カズの感想・評価

3.7
記録用 川島雄三 乱調の美学
フランキー堺、青龍軒新ビル工事現場での振る舞いにハラハラ。
岡田真澄フランスお母さんが怪しいのはなんで。
2016/9/16
稀代のエンターテイナー!
フランキー太陽傳
@ラピュタ阿佐ヶ谷


2回目
@新文芸坐

川島雄三お得意の、一癖も二癖もある登場人物たちのドタバタ喜劇。
やっぱり最高に楽しい作品。
かなり複雑な血縁関係や青龍軒のオーナーは結局どうなっちゃうのとか物語の本筋はさておき、芸達者な面々の演技を観ているだけで幸せな気分になれる。森繁、フランキー、加東大介、淡島千景、木暮実千代、団令子、池内淳子…みんな大好きすぎる。

クロレラのくだりは少々やり過ぎ感もあるけど、研究してる当の三木のり平より熱心な池内淳子とか、ラストにクロレラソースを持ってくる木暮実千代は笑ってしまう。

フランキーは今作でも団令子からモテている。他にはない少しアダルトな関係性も良くて、その魅力でフランキーをメロメロにしている団令子は最高に可愛い!
イチャイチャしてる2人を撮ってるカメラを意識したようにカーテンを閉めるシーンや、セットを乗り越えていこうとするフランキーなどは川島雄三っぽい演出。

ラスト、登場人物たちが主題歌「とんかつの唄」を歌いながら終わるなんて本当に洒落てる。
鑑賞後にこんなにとんかつが食べたくなる作品はほかにない!
yuka

yukaの感想・評価

3.8
『縞の背広〜』と立て続けにみて主要キャストも同じだったから、こっちも微妙なのでは‥とソワソワしてたけど、ラストシーンの良さが卓越してた

いきなりミュージカル調のエンディングって新鮮だな

新青龍軒のコック長は結局どうなったんや
森繁、フランキー、のり平、加東大介らが出演しているので、東宝っぽいゆるいコメディかと予想したけど、さすがの川島雄三作で面白かった。

カットをあまり割らずに長回し風に撮影し、セットは奥行きがあって俳優が動きながら演じる場面が多いと思う。特に後半はかっこいい場面が多い。主になる人を奥に配置し、手前に関係のない物が大きく写っているような場面もいくつかあった。

フランキーと見合い相手のてん末やラストの加東大介と森繁の関係性の変化などは、もっとドラマチックに撮る人もいるような気がするけど、あっさり撮っていて、好みだった。

「川島雄三の世界」
mingo

mingoの感想・評価

4.0
「とんかつの油の滲む接吻をしようよ」
64年東京オリンピック前の「豊かさ」が十二分に感じられ、たまらない。来年の東京オリンピックはせめて日本という国に希望を見出せるよう自分だけでもしっかりしないとなあという気にさせられた、、、

まず冒頭の「とんかつが食えなくなったら死んでしまいたい~」の唄にやられる。観たあととんかつ食べに行ったよ。(ついでに豚汁もつけたよ)52年「とんかつ大将」が全くとんかつ出てこないだけあって本作とんかつがメインの素晴らしい人情喜劇の傑作となっている。川島作品みればみるほど初期の作品が凡庸すぎて如何に遅咲きだったかわかる(特に晩期の箱根山→雁の寺→しとやかな獣はやばすぎるでしょ。縞の背広は脚本が悪い)

フランキーと団令子の本当に好き同士キスの嵐に幸せ気分、加東大介の頑固親父ぶりに胸が熱くなり、義理の叔父である森繁との掛け合いに泣きを誘う。三木のり平と池内淳子のクロレラ夫婦はアホすぎて最高。そして岡崎宏三の狭いとんかつ屋を自在に動くキャメラが凄いし、もうほんとに「とんかつの唄」が神唄なので世界中の人に聴いてほしい。

https://m.youtube.com/watch?v=rghsTJZ-p44
 「とんかつ一代」なんて題名なので、庶民的なコメディかなあと思いながら見たが、いやさすが川島雄三、ドライでモダンな喜劇になっている。「ニュー青竜軒」の後継問題とか、いろんなことが投げっぱなしで終わるのだがその感じがまた良い。そしてフランキー堺・団令子カップルの距離感が実に痺れます。この二人が付き合っていることがわかる最初のショットがたまらないんだよなあ。団令子が電話に出て、その受話器を途中からフランキー堺が持つっていう。『汚名』ばりのキス連打にもグッとくる。
 また、『しとやかな獣』『雁の寺』でも一種異様な舞台を設えてきた川島監督作だけあって、空間の描き方が面白い。森繁の経営するとんかつ屋が、2階に座敷席があるという料亭みたいな設定になっている。加東大介の牛耳る青竜軒も、店舗の下に動物園があってしじゅう獣の声が聞こえるという変すぎる立地。三木のり平のクロレラ研究所も笑う。しかし何といってもやべえなと思うのは、フランキー堺と団令子がしょっちゅう密会する連れこみ宿で、フランキー堺は自分の雇い主であるその連れ込み宿の経営者の愛人の娘と見合いをする話が持ち上がってもなお、その連れ込み宿で密会を重ねる。どういう神経なのかよくわからないがカオスで良い。
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