ゆう

レオン 完全版のゆうのレビュー・感想・評価

レオン 完全版(1994年製作の映画)
5.0
2回目。久しぶりに見たけど、当然の如く非常に良かった。

寡黙な殺し屋と聡明な少女。絶対に相容れないような2人が合わさることによる破壊力よ。

純粋なアクション映画としても面白いし、キャラは敵側含めて全員魅力的だし、少女の複雑な愛情も描かれているし、会話の一つ一つが伏線だったりやけに印象的だったり、映像も美しいし、なんなんだろうな。この映画は。

大人に見えて、子供っぽい一面を持つ殺し屋レオン。冒頭のシークエンスはただひたすらかっこいい仕事をするシーンで構成されていて、完璧人間にすら思う。けれども「雨に唄えば」を目をまん丸にときめかせて見つめる場面や、読み書きが上手くできないといった子供っぽい幼さが滲み出ていて、そこがまた魅力的に写る。

対して家族を殺された少女マチルダは、あの家族と本当に同じ血を持っているのか疑うほど聡明で賢い。「もう大人よ。あとは年をとるだけ」とマチルダが言うシーンがあるけどまさにそう。体つきはまるで子供なのに、見ている世界、レオンに対して抱く感情のそれは大人と同じものにみえる。大人がこっそりと求めているような愛を、ここだけは子供らしく駄々をこねるように求めるマチルダの姿は、わがままだけど真っ直ぐな姿勢だから好き。

そしてゲイリーオールドマン演じるノーマンの激ヤバさね。これを語らずには終わらせることはできない。レオンとマチルダのラブロマンスをいい意味でぶち壊すような存在がこの映画のフックになってるし、僕はノーマン見たさにこの映画を繰り返し見てしまうだろうな。

麻薬捜査官が麻薬の常習犯というこの世の終わりみたいな構図だし、その麻薬のキメ方がもうたまらんのよな。言葉でその動作を表せられないけど。誰が見てもあぁこれは薬じゃなくて麻薬なんだなと分かる演技。作中で2回しかやらないのにそのシーンが目に焼き付く。

魅力的な悪役の特徴は話に関係がないことをやたらペラペラ喋ること。敵を目の前にしてどれだけ一見関係の無い前口上を述べることができるのか。この一点に尽きる。ノーマンの語りは満点でした。というかこれが一種のスタンダードになっていたのかもしれないな。

色々と喋ったけど、この映画を見たあとはレオンもマチルダも大地に根を張って生きていて欲しい。ただそれだけだと思いました。
ゆう

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