てつこてつ

パッションのてつこてつのレビュー・感想・評価

パッション(2004年製作の映画)
3.5
むむむ・・。やっとレンタルして見る事が出来たが、なるほど、評判通り、なかなかチャレンジングな作品。

イエス・キリストの時代に使用されていたとされている古代アラム語で全編台詞が構成されているというこだわりは凄いし、「ジーザス・クライスト・スーパースター」等でも描かれている、彼が磔刑に処されるまでの最後の12時間を、良くも悪くもかなり克明に映像化しているので、ローマ帝国総統ピラトの前で行われる、有名な39回の鞭打ちのシーンとか、リアルを通り超してややグロさもあり、敬虔なクリスチャンの老女が、この作品をヨーロッパのどこかの国の劇場で見ている途中に気絶したというエピソードも、あながち嘘ではないと思える。

興業収入を一切無視して、監督の熱意、それこそ、’パッション’のみで制作したという心意気も含めて、個人的には好きな作品だけど、モニカ・ベルッチが演じたマグダラのマリアをイエスの母親として描かれているのは解釈の間違いではないだろうか?マグダラのマリアは、元々は娼婦で、イエスの教えで改心し、後に彼の信者となった人物だと記憶しているのだけれど・・

また、ユダヤ嫌いのメル・ギブソンらしく、十二使徒の一人であったユダを、ただただ悪人として描いているのだけはいただけない。ユダの「裏切り」とされる行為については、「ジーザス・クライスト・スーパースター」での描写のほうが、個人的に人間っぽくてリアルだと思う。もちろん、2000年以上前の史実なんて、実際は誰も分からないことだけれどね。

この映画を鑑賞するには、遠藤周作の小説か、1973年制作のロックオペラ「ジーザス・クライスト・スーパースター」は見ておいたほうが良いかも。
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