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ピアノ・レッスンのKのレビュー・感想・評価

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)
3.8
“暗い才能”。理由もなく6歳で話すことをやめた主人公エイダ。“神も口をきかぬ動物を愛す”。浜辺に置き去りのピアノ。結婚写真。雷。親子で首を傾けるシーンが可愛い。紙とペン。怒っていても崩れない気品。蓋に指を挟まれるベインズ。レッスンと取引。鍵盤。タイツの穴。娘の前で見せる笑顔にホッとする。台詞ではなく映像で語るシーン多め。ピアノという単語、音色、物体を使った比喩表現。思いもよらぬ悲劇。いわゆる“面白い話”ではない。この時代の文化や倫理はさておき、自分の感覚で見た場合には共感よりもずるさを感じる。エイダが自分の母親だったら応援できるだろうか。娘の気持ち。「音のしない世界を満たす沈黙」。余白を自ら埋める系。リアルさとファンタジー感。終盤の指に『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を思い出す。やっぱりコミュニケーションは大事。詩的な表現と幻想的な映像が美しかった。
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