大木茂

海を飛ぶ夢の大木茂のレビュー・感想・評価

海を飛ぶ夢(2004年製作の映画)
3.1
これを観て明日から頑張ろうとは思えないが
死を考える時にどうして死ぬのかって考えれる機会にはなると思う

弁護士で本の出版を手伝ってくれるフリア
悩み相談をしにくるロセ
妊娠中の友達、義理の姉と自殺サークルに集う姫みたいな人達ばっかりでこれが実話ってのはなんかちょっと恐かったな

しかもそのうちの一人がラモンと同等レベルの身体的ではない病にかかるってのが辛い

敢えて健康だった時の場面を出さないのも悲壮が増す
意図的に現在の話に集中させる為と監督げ言ってたけどキツイよな

まれに事故の回想が出るんだけどジュリーみたいで若いくてカッコいいなハビエルバルデム

似た話で「ジョニーは戦場に行った」ってのがあるけどこっちはほぼ忠実に再現してるんだよな


自分は死ぬなら最も楽な方法で死んでやろうと死に対して反抗的、怠惰な態度で挑んでやろうと考えているが
死ぬ事、死に方すら選べないのはある意味囚人に近い
囚人ですら死ねるというのに

世の中にはなぜ死なないんだろうと思う人もいるが死ぬ勇気や死について考えていないある意味死人と同じなのだ
だから自殺する人というのは実は興味本位や探究心が旺盛、解放を目指しているインテリジェンスだと思う

まだ自分はそこには達していないが
身体の一部が機能しなくなる事を想像するだけで絶望する
それを忘れるために生きる為に生きる
死んでないだけの人生をとりあえず生きてる
死なない為の処世術として趣味や食事やそうぞうをしてとりあえず今に至るって感じだ
この映画はメメントモリという意味では素敵な作品だと思う
これは自殺幇助ではない。






自分には自殺したクラスメイトがいたが
悲しいとか残念とかそんな感情は湧かなかった
彼の生き方、考え方を想像しても希望なんてないと思えたから「なるほど」って思えた
ある意味頭が良いとすら感じた
(学校の成績もクラス二位って前に教えてくれた)
恋人なんていないし作り方もわからない(風俗に行けば?と提案した事もあるが実行する行動力もなかった)
激しい絶望もなかっただろう
ちなみに中学からの幼馴染がいて高校卒業しても好きだったらしく
何回か告白したが相手にされず
同じクラスだった違う友達にはオーラルセックスしたりセフレになったりと可哀想だった
だから貞操観念の低い人間は心底嫌いだ
その幼馴染は結局お金持ちと結婚して妊娠していた
地下鉄で偶然会った時は去り際に『アイツが(自殺したクラスメイトを)殺したんだよ』って隣にいた友達に説明した
別に悔しさとかではないがこの世にそういう人種がいる事に怒りを感じた

死ぬ何ヶ月前かに心霊スポットだか未解決事件の現場に一緒に行った時は地方へ就職をし仕事をしてると聞いたが幸せそうではなかった

ちゃんとした理由なんて本人にも分からないと思う
多分、試しに死んでみたら本当に死んでしまったのだ
今思うと
兄が国立大学に出たという格差や
女性経験が無いくせに理想が高かったり(太った人や醜い人に告白されても断ったり)
いきなり女のクラスメイトに下の名前で呼んで裏でクラス中に引かれていたりして何も擁護出来ない可哀想で魅力のない人間だった

人との距離の間隔が下手くそで
たまに抱きつかれたり髪をクシャクシャにされたりしてそういう性愛の種類かとかすかに思った事もあるがそれはただ人肌が恋しかっただけだと感じる

一番残念な話が
馴れ合いでいつも「呪いのビデオ」をレンタルし観るという習慣がたまにあったのだが
免許を持っていない為自分が送り迎いしていたのだがレンタル代金を払う時に運転代として50円渡された時は情けなくなった

そういう人間もいるのだ
恨まれもしないが誰からも愛されない人間が

どうやって死んだのかって事だけ気になった
以前、位牌に手を合わせにクラスメイトの実家に行き母親から聞いた断片的な話で考え方た結論は
警察の捜査でパソコンの履歴を見た結果
検索結果上位の欄に自殺に関する閲覧履歴があったと教えてくれた

つまり薬や煙という事ではないと分かった
そして身体を切るという勇気や行動力はない(あるなら恋人なんてとっくに出来てる)
死に顔も見たので飛び降りでもない(棺桶の中の顔は口が開いていて歯が見えかすかに頬が痩けていて更に色白になっていた)

なのでドアノブで首を吊って死んだと断定した
自分の中で最も意気地のない死に方が首吊りだとなった瞬間だった

死んだ後は珍しい体験をしたと話のタネになったが
今は悪い種を植え付けられたようだ
死んだクラスメイトを否定し続けなければ侵食されそうで恐ろしくもある
ウェルテルなんて呼びたくない
アイツにはそこまでの影響力もないし魅力もない
父親ですら遺影の前で『〇〇とはなんだったのか』と言っていたのだ
今、自分の周りには恵まれた友達が結構いる
浅く広くではない魅力ある人達だ
自分の友達の基準は居て楽しいかより
ひとつでも尊敬できる所があるかどうかだ
逆に自分も他人から見て何かを持っていなければいけないと軽い強迫観念みたいなものが常にある
つまりそれは夢だ
夢のない人間は魅力がない
嫌いな物が同じ、秘密の共有、これが友情のスパイス
好きな物が同じは入り口に過ぎない

話していても面白くなかったり将来性がない人間は
それを見つけない限り死人と同じだと感じる
なので死を選ぶというのは生きる選択肢のひとつだと思う

ただ、鬱やこれから死のう、死にたいと思ってる人に対しては脳を回転させてあらゆる方法で回避する方法を提案したい
これ以上種を植えつけられるのは身が持たない
人助けというより自己防衛に近い
大木茂

大木茂