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祇園の姉妹のbのレビュー・感想・評価

祇園の姉妹(1936年製作の映画)
4.0
風情たっぷりの映画。先日鑑賞した『祇園囃子』から遡ること17年前の作品。両者のテーマは類似している。しかし、その出来は明らかに本作の方が上である。祇園で芸妓を生業とする二人の女性がそれぞれ異なる男性観を持ち、経済的な危機のなかでそうした男性観の相違が両者に異なる結末をもたらすというお話。非常に単純化して言えば、女にとって男との関係においてより重要なのは愛か、金か?という主題。しかし、男=金という考えの根底に男に対する軽蔑があるというのはなんとも物悲しい。これは女性の社会的地位が低かったかつてのお話かもしれないが、現代から見ても示唆に富む主題だと思う。というのも、現代においてもなお結婚において女性が重要視するのは男がどれだけ稼ぐか、ということであり、これは現在までのところ男女関係における普遍的な主題だといえるからだ。もちろん愛か金かは単純な二者択一ではあり得ないが、本作では芸妓という視点からそうした選択において最も極端な例を見ることができる。
また、本作の見所は何と言っても華麗な台詞回しである。いわゆる「京ことば」の柔らかな口調にのせてドロドロとした会話が聞き心地よくなされていく。また、キャラクターが一人ひとりしっかりと立っていて、自然と映画の中に没入していくような心地よさがある。

【祇園の姉妹(1936)】
https://m.youtube.com/watch?v=_ORqGVIK7-M
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