シカク

憎しみのシカクのレビュー・感想・評価

憎しみ(1995年製作の映画)
4.3
フランス🇫🇷郊外のシテと呼ばれる団地に居住している、人種が異なる三人の若者達の、午前から翌日早朝までを、時に映像などで遊びを見せつつ、基本のシークエンスは現代も変わらずフランスのみならず諸外国に根を張っている移民及び難民などの社会問題を克明にし大胆なラインどりで切り取ったモノクロフィルム。

おそらく移民家系の二世あるいは三世の彼らの、諸々の事情や異なる方向性やルーツを凌駕する強く結ばれた友情に、途中からその輪に入り込ませられるよう。✨

輝く街並みの寄りから引いて、高層の建物の渓が顕になり、それをバックに腰高の塀でへだてられて小高い野外に無造作に佇む三人、そして徐々に背景は哀愁と共にぼやけていく、この時の絵が只々素晴らしすぎた、完璧なカメラワークの演出で織りなされた自分的に本作随一に気に入ったシーン。👍🏻

作品全編通して今まで見てきたフランス映画を見てる感覚が一切無かった、この時代のアメリカ映画に通じるようなスタイリッシュさやストリートカルチャーの造詣も盛り込まれ、既成のものを覆した感を後押ししていた。
フランス映画で、さらにモノクロで描き切った、青臭く泥臭く青春の煌めきが、この世界何処にでもある、自分は何処に帰属して何処に向かうのかという議題を溶かして、もちろん考えさられるものはあったけど憎しみというタイトル以上に映画として娯楽として網羅しており、見応えがあり、めちゃくちゃ良かった。

ただラストは..... まぁ、こうなるよねっていうのもあったけど、やっぱり心に衝撃と戸惑いが波紋を広げた。
シカク

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