映画ケーン

デビルスピークの映画ケーンのレビュー・感想・評価

デビルスピーク(1981年製作の映画)
5.0
初めて観た時の衝撃は今も覚えてる。
「こんな面白い映画あるんだ!」ってなって夜、中々寝付けなかった。

男版『キャリー』。ハッキリいうとパクリ。序盤の流れとか全く同じ。
でも、『キャリー』は主人公は実は美人だったり、イジメもキャリーの思い込みがあったりして救い所があった。
でも、この映画の主人公クーパースミスはクリント・ハワード(映画監督ロン・ハワードの弟)が演じてて、お世辞にもイケメンとは言えないし、ぽっちゃりしてる。更に、いじめも「実は謝ろうとしていた」的な救い場所は一切無い。現実はそうだと思うんだよね。
ラストももっと凄い。

冒頭、何やら怪しげな男(名はエステバン)がキリストを否定して悪魔主義を布教する。
場所は砂浜。荒々しい波。
男は砂浜に逆五芒星(逆さの☆)を描いて、皆の前で「サタン!サタン!サタン!」と叫ぶ。「神は我々を裏切った!」だとか説得力ある演説は何もしませんw
そして、良く分かんない儀式(黒ミサ?)をして女の首をチョンパする。首が飛ぶ。その首が飛んでいくのに重なって次のシーンでのサッカーボールが飛ぶ。この繋ぎ結構好き。
周りは皆金持ちで、クーパースミスは福祉によって学校で勉強する事が出来てる。彼はイジメられてて、先生達もそれには気付いているものの、気付いていないフリをする。

この話、どっかで聞いた事ありません?
『学校のカイダン』ですよ。だから、クーパースミスは広瀬すずなんですよ。みんな広瀬すずに感情移入して、「やっちゃえ!」なんて思ってたでしょ?
それと同じです!!!

そして、ラスト。怒りの爆発、復讐。
最後の虐殺シーンは『キャリー』以上に凄い。『キャリー』はホースで水飛ばしてたりで結構ショボいんだけど、この映画では、主人公は宙を舞い、剣で首を吹き飛ばし、ブタが生徒達を貪り食う。

ラストの大殺戮で宙を舞うクーパースミスのワイヤーが見えてる辺りとか凄い好き。
「ダメじゃん」って思うかもしれないけど、そのユルさと、同時に映画の裏が見える感じが凄く好き。「クリント・ハワード、一生懸命演技してるな〜」が良いんだよね。

何だかんだイジメられっ子映画としてお手本の様な映画だと思ってる。
主人公はイジメられてて、その主人公自身の弱者の面のメタファーとしての存在(今作では犬)があり、同時に対照的に全てを破壊したい主人公のメタファー(今作ではサタン)がある。
好きな人が居て、高嶺の花なんだけど、上手くいきそうな雰囲気になる。でも、イジメっ子によって好きな人の”目の前で”醜態を晒される(今作ではパンツ姿にされる🤦‍♂️)。
必要な要素が全て揃ってる。
で、大事なのが主人公がキレる理由。自分自身がバカにされた時ではなく、自分の大切な存在がバカにされた時(今作では犬が殺される)に。

いかにも全てが偽物で、怪しげで、おどろおどろしいこの雰囲気がたまらない!安っぽいグロ表現。首がスパーン!脳天バカーン!
全てが好き。こんな夢の様な映画他にない!
この映画は僕が映画に求める理想型。

多分、死ぬまで僕はこの映画手放さない。
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