飯

長江哀歌(ちょうこうエレジー)の飯のレビュー・感想・評価

5.0
『一瞬の夢』と本作は個人的に贾樟柯のトップ2映画。前者は才能。後者は工夫。

生活の不条理と無常、パラドックスへの思考と監督が自分の映画美学を突破しようとする野望。

細部処理、叙事リズム、時代記号、全てが丁度良かった。
現実主義描写の中でシュルレアリスムのショットを置くこと。それは巫山という多雨の町が北部出身の贾樟柯にとって少し非現実な感覚をもたらしたからかもしれない。

「中国今の現実主義はシュルレアリスムである」と彼も言った。

彼は一つのスタイルを探っていた。一種の文化探索、社会秩序と歴史的詩意。

いつも通りの長回し、素朴感を延長させていく。

煙草、酒、茶、糖、寓意化の設計もあざとくて可愛かった。

中国というマジックリアリズムの舞台では、日々このような物語が上映している。芸術素材の宝庫。

(サンミンの電話番号は本当の存在していたらしい。
飯